さびしい…


お隣のおばあちゃんが、お浄土へ還られた。
92才。
1人で暮らされていた。
朝、カーテンが開くとホッとしていた。
お裁縫が得意で、
「ご院家さんの着物とか綻びものがあったら、持ってきてね!」
と言って下さった。
お裾分けをお持ちすると、
「ありがと、ありがと」
と手を合わせて、喜んで下さった。
「坊守さん、たいへんなのに、よくがんばっておられるね!」
と、何時も、あたたかい励ましを下さった。
あのカーテンは、ずっと開いたまま、
閉じる人がいなくなったお家。
明かりの点かない夜。
さびしい、さびしい夜です。

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